■専務所見 平戸海のものがたりについて

光と音が織りなす幻想祭~平戸海のものがたり~


平成30年9月22日土曜日

私は 地元の高校、猶興館高校のすぐ近くの公園、亀岡神社を舞台に行われた巨大プロジェクションマッピングの祭典に足を運んだ。

下記、社長の提案により、レポートを掲載する事とする。

もし、この幻想祭に足を運ぶ場合は参考にされたし。



光の参道

かつての母校を懐かしむ間もなく、ヒーリング系のBGMとLEDの幻想的に彩られた光が私を迎えてくれた。どこからともなく夜霧の演出があるが、これは自然現象か、はたまたドライアイスかなにかだろうか。

このチケット売り場がどうやらルート上、正しい入り口であるらしい。私は友人Oと二人でここの門に立った。入り口は多数存在するが、チラシの道順通りに見物できるのはこの大鳥居からである。待ち合わせをしていたM友人夫妻はどうやら、他の入り口から入場したらしい。私は運転免許証を取り出しチケットを購入した。地元民割引を使うためである。「200円の割引ですね~」と話す年配の女性は私にチケットとチラシを渡した。私は一瞬、逡巡する。お釣りはどうした?と。幻想とは違う雰囲気が流れる。その空気は、おそらく立方体に凝縮し、上空に飛び立った。


デジタル歴史絵巻

幻想的な参道を進むと、デジテル歴史絵巻が登場した。例を挙げるなら学校の教室の黒板であろうか。それ相応の横スクロール画面に絵巻のグラフィックが流れている。ここ地元、松浦・平戸の歴史に大きく関わった人物だと思われる。私は平戸の歴史に疎い。よくよく見物すれば面白みも湧いただろうが、私は先を見たく、そうそうにここを後にした。


深海のツツジ

9月終わりにもなるが、ツツジが咲いていた。いや、本当に咲いていたのかは夜なのでわからない。ただ、LEDの灯りにより、ほのかに赤く輪郭を映すそれは、海の中に整列させられた岩々のようでもあった。絶妙なネーミングである。今まで参道やこれからの神社周辺とはまた違う。まるでこの一帯だけ切り取られたかのように静かで、ムードがある。固有結界、はたまた、閉鎖空間とでも言うのだろうか。ここにカップルで来れば、妙な気分になる、そんな予感がする。(逆光のせいでニュアンスは伝わりずらい画像になってしまった。)


蘇る唐船

深海のツツジを抜け、光の指す方へ進む。石階段を登り上がると船型に切り取られたスクリーンに唐船が映し出されていた。それは波に揺れ、帆は風にはためいている。どうやら無事に海上に出たらしい。向かう先にはどのような物語があるのだろうか。会場の道順構成もこういう立体構造から来る意味合いをストーリー化しているらしい。やはり、順路というものは大切である。


不思議な大海原(夢幻の松浦水軍)

スカッと晴れた夜空の下に、煌々と輝く亀岡神社が見える。波のような光の参道の左側にその海原はあった。船の進む先はやはり、大海原と来たものだ。立体造形のステージはこれから行われる「夢幻の松浦水軍」の為にある。シルク・ドゥ・ソレイユに出演したことのある人たちの本場のパフォーマンスが見れるのだ。私の心も高鳴り始める。時間はもうすこし掛かるらしい。その間に準備が整うはずである。


海の神楽殿

神楽殿が水族館になっている。言葉にすると意味不明だがこれが文字通りなのだ。アクアリアリウムが陸に海を形作る。大海の上に隔離された海がある。しばらく、見ていると急にどこかで見たような気持ちになる。ああ、これはスクリーンセーバーじゃないか。コンピューターのコンソールに長時間ユーザーによる入力が無かった時、ディスプレイを保護するために自動的にアニメーションを表示させるものだ。つまりは、現代の神楽殿とはそういうものだ。そういう示唆なのだろうと勝手に解釈する。


亀岡神社と光の森

階段を登り上がるにつれ遠目に見える神社は、中国の洪崖洞(ホンヤートン)の海上街のように幻想的であった。それは言い過ぎか。参道に等間隔で並べられたLEDは青、白、赤とその彩りを変えながら我々を迎えてくれた。色とりどりの波にさざめく海上を歩くが如く産まれては死んでいく光。その上をまっすぐに歩き、神社に到達するのだ。やっと、Mと合流した。彼は妻を、城に置いてきたと言った。戦場の侍気取りであろうか。謎は深まるばかりだ。


海の灯り城 -HIRADO CANDLES-

さあ、今までが海上ならここは巨大な灯台と言ったところであろうか。最近スバルのCMで、若い男の子と女の子が灯台の意味を問うシーンが合った。そこでは、灯台の光で自分が「ここにいるよ」と訴えているんだ、と女の子が言った。そのあと、船で離郷する女の子に向かって男の子がフォレスターのフロントライトを点滅させて、自分は「いつまでもここにいるよ」という旨をと訴えるシーンがあった。私はいつもそのシーンを見るたびに、「いや、電話したれよ!ドリカム世代でもないやろもん!」と思っていたが。まあ、今度車を買うならフォレスターが良いことも確かである。(まんまとCMに影響されている)

しかし、この城全体に映し出されたプロジェクトマッピングの動画は、確実に人々に訴えているものがあるのだ。

ひとつは、日本全体、全世界にここは観光地であると光を放ち訴えている。

ひとつは、ただの日本の末端ではないという事、ここにも都心と変わらぬように老若男女が暮らし、活気ある生活が息づいている事を。

ひとつは、この地元全体に、長崎県の松浦・平戸は外国貿易の窓口のひとつであった歴史という大遺産があるという事を再度享受できるように。

この城はその「シンボル」であり、この会場はそれに惹かれた人々が集まる為の「場」であるのだ。それは、人の交流を生み、また波風を立てる起点ともなるはずである。


夢幻の松浦水軍

我々が城から降りてきた時には、舞台は人で覆われていた。あの、シルク・ドゥ・ソレイユ出演者のパフォーマンスを800円で見れるのは、安くて良い買い物である。しばらくすると、5人の白人男女が昔の水軍の格好をして出てきた。そこで繰り広げられる軽業。とても私には真似できない。中でもブランコを使って高く飛び上がる演目には驚かれた。あれは、何を表現していたのだろう。クジラの潮吹きか?やはり、図体がでかいのはアクロバティックな動きを表現するのには有利に働くものだ。演目は拍手喝采にて終了を迎えた。


光の見奏櫓

「さあ、飯にしよう」、と正門(入場した鳥居)までの帰路に着く。会場を後にし、夕飯を友人たちと食べることとなった。時間は20:10。予定していた飲食店は満員だという。バスターミナル脇の無料駐車場に車を停めて、店を歩いて探す事になった。ふと、会場の方角を振り返る。この離れた場所からでも見えるではないか。ちゃんとその城は存在していた。普段は気にもとめないその城は、今この現代に数百年前の出来事を夢見るように映し出していたのである。


全体の感想

上記にも記述したが、会場の高低差を深海、海上、丘の灯台を直喩した会場構成があり、そのストーリーラインに乗るようにライトアップの演出が施されていた。さすが、「NAKED」である。クリエイティブカンパニー様々である。友人のひとりはやたら出島のプロジェクションマッピングと比較していたが、規模の大小を楽しむのでなく、この田舎の平戸に、この雰囲気を構築し、ひとつの世界観を空間として提示した事に注目して欲しい。私は普段と違うその空間の違和感を、違和感なく楽しめるまでに再現したクオリティの高さにさいわいと感じ、高く評価することにする。



なお、このイベントは平成30年10月31日迄 開催中である。


※平戸の居酒屋「貴苑」で飲んで、締めに食った焼きおにぎり(バター乗せ)はマジうまかった。

活動版画印刷所

はじめまして、社長です。 この度「活動版画印刷所」 を設立しました。 オフィスも資金も無い小さな会社ですが 社員と共に地球上で面白いことや思い出作りをしようと思っています。 まずは地元を拠点に少しずつ活動をしていきます。 応援よろしくお願いします。

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